社会保険労務士法人アーリークロスの社労士ブログ

2024.02.22

適切な勤怠管理について

こんにちは!福岡市にあります社会保険労務士法人アーリークロスです。
今回は勤怠管理についてお話ししたいと思います。

皆さんの会社では勤怠管理はどのように行われていますか?

タイムカード打刻、出勤簿への押印、ICカードを利用しての打刻、PCでクラウドシステムに打刻…などなど、様々な方法があるかと思います。

「勤怠管理」=「労働時間の適正な把握」は、事業主の責務です!
今一度、会社の勤怠管理の方法を見直してみてはいかがでしょうか。

平成29年1月20日、厚生労働省は「労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドライン」を策定しました。

事業主には労働時間を適正に把握する義務がありながら、不適正な運用をしているがために、過重な長時間労働や割増賃金の未払いといったトラブルが多々生じているのが実情です。そういったトラブルを無くすために、本ガイドラインが策定されました。

ガイドラインを遵守することは、会社の責務を果たすとともに、従業員の労働環境を守ることにも繋がります。
適正に勤怠管理を行うことができるよう、ガイドラインに沿って、勤怠管理のポイントを押さえていきましょう。

「労働時間」について

そもそも労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされています。
そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこととされています。
(以下、太文字はガイドラインより)

ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付 けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃 等)を事業場内において行った時間

イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」

ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

いずれもその行為(をしている時間)が
「任意(=労働からの解放が補償されている」か?
「事業主の指揮命令下」か?
がポイントとなっております。

会社指定の制服への着替え時間や、業務上必要があって待機している時間、会社指示の研修時間なども労働時間になり得ます。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置とは?

(1)始業・終業時刻の確認及び記録
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。
(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎 として確認し、適正に記録すること。

上記の方法「イ」のとおり、客観的に労働時間を適正に記録されている場合は概ね問題はありません。

(3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
※自己申告で管理している場合は、以下の注意が必要となります。
ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、十分な説明を行うこと。
ウ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
エ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

いくら自己申告制であっても、会社は従業員に労働時間の記録方法についてきちんと説明し、労働時間が適正に記録されているかの確認等の義務があるということが明記されています。

(4)賃金台帳の適正な調製
(5)労働時間の記録に関する書類の保存(3年間)
(6)労働時間を管理する者の職務
(7)労働時間等設定改善委員会等の活用

勤怠管理は、従業員の賃金に直接的に結びつく大切なものです。また、労働時間の管理についてのトラブル(それに派生する賃金未払いのトラブル)は非常に多いです。

労働時間の記録書類(出勤簿やタイムカード、勤怠システムのデータ)の保存期間や、従業員の時間管理を行う人の責任なども含め、今一度自社の勤怠管理の方法を振り返ってみてはいかがでしょうか。

弊社では、労務相談・各種手続きだけでなく、勤怠システム・給与システムの導入サポートも行っております。
また、関連会社のDX推進チームと連携して、勤怠・給与だけでなく、会計等のシステムサポートも可能です。
社労士事務所で、システムサポートがここまで充実しているのは弊社の強みです!

勤怠管理のシステム導入や方法について、お悩みの方は一度弊社までご連絡ください!きっとお役にたてるはずです!

【参考】
厚生労働省「労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf

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