社会保険労務士法人アーリークロスの社労士ブログ

2023.08.04

「事業場の安全衛生管理について実施できていますか?」

こんにちは!福岡市にあります社会保険労務士法人アーリークロスです。
今回は労働安全衛生法で定められている「事業場の安全衛生管理」について解説します。

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場形成を促進することを目的としています。
その中で「安全衛生管理体制」は、労災防止の観点からも非常に重要な措置となります。
事業場ごとに適用され、規模や業種の要件があります。
法令対応を再度確認してみましょう!

⑴総括安全衛生管理者

・事業場規模【常時100人or300人or1,000人以上】で選任しなければならない
※業種によって事業場規模の人数が異なります。

・職務
安全管理者、衛生管理者等の指揮及び「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること」等の業務を統括管理します。

・資格
特になし(事業場においてその事業の実施を統括管理する権限及び責任を有する者)

⑵安全管理者

・事業場規模【常時50人以上】の一定の業種の事業場で選任しなければならない
※業種は限定されています。
※原則、その事業所に専属の者を選任する必要があります。
※ただし、一定の業種+常時使用労働者数300人以上については、安全管理者のうち少なくとも1人を専任とする必要があります。

・職務
①総括安全衛生管理者が行う業務のうち、安全に係る技術的事項を管理
②作業場を巡視し、設備・作業方法等に危険の恐れがある場合には防止措置を講じる

・資格 
①~③のいずれかに該当する必要があります。

①一定の学歴、実務経験及び職務に必要な知識についての研修であって、厚生労働大臣が定めるものを修了した者
②労働安全コンサルタント
③以上のほか厚生労働大臣が定める者

⑶衛生管理者

・事業場規模【常時50人以上】で選任しなければならない
※すべての業種
※原則、その事業所に専属の者を選任する必要があります。
ただし「業種にかかわらず事業場の人数が常時1,000人を超える場合」や、「常時労働者が500人を超え、法定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させている場合」には、少なくとも1人を専任の衛生管理者とする必要があります。

・職務
①総括安全衛生管理者が行う業務のうち衛生に関する技術的事項の管理
②少なくとも毎週1回以上の作業場の巡視及び有害の恐れがある場合には健康障害防止措置を講じる

・資格
第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許、医師 など
※業種によって必要な免許が異なります。

⑷産業医

・事業場規模【常時50人以上】で選任しなければならない
※すべての業種
※常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上選任
※常時1,000人以上の労働者を使用している場合や、一定の有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させる場合については専属の産業医が必要です。

50人未満の事業場については専任義務はありませんが、健康管理について知識のある医師等に労働者の健康管理を行わせる努力義務があります。

・職務
①労働者の健康管理や作業環境の管理を専門的に指導、助言
②事業者への勧告(労働者の健康確保のために必要と認められるとき)
③少なくとも毎月1回の定期巡視

・資格
医師であって、かつ厚生労働大臣の定める研修の修了者など

ここまでの⑴~⑷については、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。

詳細はこちらをご参考ください。
(参照)東京労働局
「「総括安全衛生管理者」 「安全管理者」 「衛生管理者」 「産業医」のあらまし」
(URL)https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/a-kanri.html
(PDF)パンフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/anzen/pdf/kanrisya_aramasi2011.pdf

⑸安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会

・事業場規模【常時50人以上】で選任しなければならない
※安全委員会は業種要件あり、衛生委員会はすべての業種
安全委員会及び衛生委員会の両方が必要な場合には、安全衛生委員会の設置にすることができます。

・委員の構成
安全委員会→総括安全衛生管理者等、安全管理者、安全に関し経験を有する労働者
衛生委員会→総括安全衛生管理者等、衛生管理者、産業医、衛生に関し経験を有する労働者

・委員の審議事項、頻度
安全委員会→労働者の危険を防止するための基本となるべき対策等
衛生委員会→労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策等

毎月1回以上開催し、議事の記録を3年間保存、開催の都度労働者へ周知する必要があります。

(参照)厚生労働省「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/1.html

⑹安全衛生推進者(衛生推進者)

・事業場規模【常時10人以上50人未満】で選任しなければならない

・職務
労働者の安全や健康確保などに係わる業務
→安全管理者や衛生管理者を選任する必要のない小規模の事業場において、安全や衛生に関する事項を統括管理

・資格
都道府県労働局長の登録を受けたものが行う講習の修了など

・選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任が必要です。
労働基準監督署への報告は不要ですが、安全衛生推進者の氏名を周知する必要があります。

(参照)厚生労働省「安全衛生推進者(衛生推進者)について教えてください。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09980.html

罰則
⑴~⑸の選任・設置義務違反の場合、50万円以下の罰金が科せられます。

いかがでしたでしょうか?
各管理者の設置条件は、業種や労働者数によって異なりますので、法令をしっかりと把握したうえで、選任や届出を正しく行っていきましょう。

お読みいただきありがとうございました。
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