社会保険労務士法人アーリークロスの社労士ブログ
みなさんは、労働基準法がどんな法律かご存じですか?こちらは、従業員の労働条件に関する「最低基準」を定めた法律になります。従業員を一人でも使用する会社は、雇用形態問わず、正社員、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など全て原則適用になります。
この労働基準法は、労働条件の「最低基準」を定めた法律ですので、会社が守らないと従業員の方たちは人間らしい生活ができなくなります。そのため違反した場合は、ペナルティとして罰金刑や懲役刑といった厳しい刑事罰が国から科せられます。いくつか代表的な事例を見てみましょう。
①労働条件が明示されていない
会社は、労働契約を締結する際、労働者に賃金や労働時間、その他一定の労働条件を明示しないと違反となり、30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。
②休日や休憩を与えない
休日については原則として、週に1回以上の休日を与えないといけません。また、1日の労働時間が8時間を超えた場合は1時間の休憩(6時間超えて8時間以下の場合は45分の休憩)も与えなければなりません。これらに違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。ちなみに、休憩とは労働から完全に開放された時間のことを言いますので、休憩中に電話番などで職場を離れられないという場合は、休憩とは認められません。
③給料の未払い
決められた給料日までに、全額支給しない場合は労働基準法違反となります。遅れて払うとか分割で払うとかいったことはできません。違反すると、30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。
④有給休暇が取得できない
従業員が有給休暇を希望したにもかかわらず、理由もなく会社が与えない場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。また働き方改革(2019年4月~)によって、有給休暇の取得が義務化されました。年に10日以上の有給休暇が付与される従業員には、必ず5日取得させなければいけません。この義務に違反すると従業員一人に対して、30万円の罰金刑に処せられます。従業員が10人いれば罰金額は300万円と高額になります。
⑤残業代未払い(サービス残業)
時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合、決められた割増賃金を支払わないと、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。ところが多くの企業では、労働者に残業代を満額与えていません。この場合、労働者は会社に未払い分を請求する権利があります。請求されると、一度に莫大な額のお金を支払わなければなりません。労働基準法の罰則と合わせると相当なダメージが及ぶことがあります。
今、紹介したのはあくまで一例であり、労働基準法にはまだまだたくさんのルールが定められています。もちろん例外もありますので、上記の例が必ずしも違反になるわけではございません。ただし、どこまでが違反かどうかを確認するのは、時間もかかりますし、知らぬ間に違反してしまうこともあります。当然ですが、知らなかったからといって免責されません。
そこで、皆様に代わって適正な労務管理をすべく、アーリークロスでは労務顧問などもおこなっています。私たちに法律に関する部分を任せてもらえれば、厳しい罰則や従業員とのトラブルも回避できます。労務に少しでも不安を感じた方は、いつでもご相談できますので、ぜひお気軽にお問合せください。