社会保険労務士法人アーリークロスの社労士ブログ
こんにちは!福岡市にあります社会保険労務士法人アーリークロスです。
今回は、「賞与支給時の注意点」についてです。
「賞与」なんだか響きだけでわくわくしますよね!「賞与が支給されたら何を買おうかなぁ…」なんて考えるだけでも楽しいという方も多いかもしれません。
従業員の大きな楽しみの一つである「賞与」ですが、賞与って何?と聞かれてきちんと説明ができる方は少ないのではないでしょうか?そんな賞与について深堀りしていきたいと思います。
賞与の定義
賞与とは「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであ
って、その支給額が予め確定されていないもの」と定義されています。
賞与の支給については、一般に就業規則等に支給時期や支給要件等が定められ、労働組合が会社と交渉して額を定める場合や、会社の業績等を勘案して使用者が定める場合があります。
業績の著しい低下などがある場合には支給を延期すること、又は支給しないことがあると定められている場合もありますので、今一度就業規則等を確認してみてください。もし就業規則に定めている内容と実際の支給要件が乖離している場合や、そもそも定めていない。という場合は就業規則の見直しが必要かもしれません。
賞与の定義に「その支給額が予め確定されていないもの」とあるため、裏を返せば「支給額が確定しているものは賞与ではない」ということになります。
例えば、「年俸額の〇%は年2回賞与として支給する」と定めている場合は、支給額が確定していることになりますので、本来の賞与の定義とは異なります。
この場合、年2回支給の金額を含む額を賃金として、平均賃金や割増賃金の基礎を計算することになります。
賞与、歩合給、インセンティブ…どう違う?
企業によっては「歩合給」や「インセンティブ」といった手当を支給していることもあると思います。これらは「賞与」とどう違うのか、ご存知ですか?
(賞与)
企業の業績と連動して支給額を決定し、算定期間中の在籍要件等は企業毎に定められているものの、正社員全員(アルバイトやパートタイマーを含むこともある)に支給することが一般的です。
(インセンティブ)
目標を達成した時に通常の給与とは別にもらえる報奨金のことです。設定された目標を超えた場合のみ支給となるため、人によっては支給されないケースもあります。
(歩合給)
実績に応じて、「契約1件ごとに〇〇円支給」など一律の割合で支給されるものです。
企業の業績に応じて支給されるのが「賞与」であるのに対し、個人の成績に応じて支給されるのが「インセンティブ」や「歩合給」という違いですね。インセンティブと歩合給については、ほぼ同義として使われることが多いようですが、インセンティブについては、お金だけでなく景品や表彰という形をとる企業もあるようです。
賞与に保険料はかかる?
賞与についても社会保険料および労働保険料を納付する義務があります。
「賞与には保険料がかかるけど、インセンティブや歩合給なら保険料はかからない?」と思われた方。それは間違いです。
社会保険料納付の対象となる賞与は「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のもの」とされています。
労働保険においても、賃金とは「事業主がその事業に使用する労働者に対して賃金、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず労働の対償として支払うすべてのもの」と定められています。
インセンティブも歩合給も労働者が労働の対償として受けるものであるため、名称が何であれ、保険料の納付が必要です。
また「年4回以上支給されるもの」については、毎月の給与にかかる社会保険料を決定するための「標準報酬月額」に含まれることになります。
社会保険も労働保険も「労働の対償かどうか」が重要なポイントです。
「賞与支給はせずに、特別手当として給与に上乗せした」なんてこともあるかもしれませんが、それが労働の対償であるならば、保険料の納付が必要であり、これを怠ると保険料未払いとして年金事務所等から指摘が入る可能性があります。
ちなみに、会社から恩恵的に支給される「結婚祝金」や「災害時の見舞金」などについては保険料の対象となりませんので、注意が必要です。
賞与支払届について
賞与支給がある月は毎月の給与計算に加えて賞与計算も行い、担当者にとっては忙しい月になるかもしれません。
両方の振込が終わった時には「やっと終わった~!!」と達成感に溢れていることでしょう。
でも、ちょっと待ってください!まだやるべきことは残っていますよ!
賞与を支給した場合は「賞与支払届」の提出が必要です。
【賞与支払届とは】
賞与支払届を提出することにより、賞与の保険料額が決定されるとともに、被保険者が受給する年金額の計算の基礎となります。
提出時期:賞与支払日から5日以内
提出先:事業所の所在地を管轄する年金事務所(もしくは事務センター)
支払届の提出をうっかり忘れていた…ということの無いように、担当者の方は今一度チェックをお願いします。
賞与については、給与ほど明確に支給要件を定めていないという企業が多いかもしれません。賞与を楽しみにしている従業員の皆さんのためにも、再度規程等の見直しをされてください。
アーリークロスでは就業規則の改定、賞与計算、賞与支払届の提出代行など、あらゆる面からサポートさせて頂きます!
お読みいただきありがとうございました。
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